2025.7.1配信




こんにちは。MICHIYUQの丸山です。
7月に入り、だいぶ本格的な夏の気配が感じられるようになりましたね。

さて今日は、「広報にまつわる“お金”」の話についてお届けしてみようと思います。
「PRは無料の広告」「この露出は広告換算すると**円です」
こういう表現の仕方よく聞くのではないでしょうか?実際のところどうなのというところ、考えてみたいと思います。

また、今週も、気になるニュースと合わせてお届けします。


一週間の気になるNews勝手にピックアップ

お金を払えばテレビに出られる? 広報を狙う「悪徳営業」の実態
まさに今回取り上げたいテーマだと感じました。
最近は「経営者メディア」と称する営業目的の問い合わせが増えており、広報としては要注意です。有料・無料に関わらず、取材を受けるかの判断は、メディアの信頼性や目的を見極めて慎重に行いたいですね。

経営トップ、生成AI「毎日使う」4割 翻訳や議論相手に
DeNAの南場さんの生成AI活用が話題になりましたが、経営トップのAI活用が本格化していると感じます。
トップ同士の交流や意思決定の場面でも、AIが示唆を与える存在になってきており、その影響力の大きさを実感しますね。

第4回 「マスコミに嫌われる広報」の共通点 → ①すぐ訂正を求める、②事前に細かく取材内容を聞いてくる、③想定問答の範囲でしか話をしない
この記事で触れられている「編集権の独立」は、広報として必ず意識すべき重要なキーワードです。広告主への忖度、特定企業からの編集部への干渉、政治的圧力による報道の制限など──こうした影響を排除し、報道機関が特定の権力や資本の意向に左右されることなく、報道内容を自律的に決定する権利を持つ。この姿勢こそが、メディアの信頼性を支える根本的な考え方です。

この原則に照らすと、「企業にとって不利だから訂正してほしい」「掲載前に細かくチェックさせてほしい」といった要望は、記者に嫌がられる可能性が高いことを理解しておく必要があります。広報活動では、メディアの立場や編集方針へのリスペクトを忘れずに対応することが信頼関係を築く第一歩です。


今さら聞けない広報と広告の違い?
広報にまつわる“お金”の話をしよう

■ 広報と広告とパブリシティの違い、説明できますか?
広報の現場にいると、必ずと言っていいほど聞かれる質問です。
両者はどちらも「情報を届ける」手段ですが、信頼の生まれ方がまったく異なります。

広告:お金を払ってスペースを買い、自分たちの言葉で情報を届ける
広報(パブリシティ):メディアが“報道に値する”と判断したときに掲載される

広告は確実性があり、出したいタイミングで出せます。一方で、パブリシティは無料で掲載される代わりに、内容や見出し、掲載タイミングはコントロールできません。
この違いを理解せず、メディアへの掲載を「無料の広告」のように捉えてしまうと、PR活動はうまくいきません。

■ 「ゼロ円パブ」「広告換算」…誤解しがちな言葉たち
「ゼロ円で取材されました!」「掲載されたので広告換算すると100万円相当です!」
このような表現、見かけたことはありませんか?

パブリシティは“結果として”掲載料が発生しないことが多いですが、それは報道価値があるとメディアが判断した結果に過ぎません。
さらに問題なのは、広告換算という考え方そのもの。これは「どれだけ見られたか(露出量)」を金額で置き換える指標ですが、

・広報=露出量ではない
・PRの目的は、マルチステークホルダーとの関係構築
・成果は「行動や意識が変わったか」というアウトカム指標にこそある

という点を忘れてはなりません。

■ PRのゴールは、「社会に行動変容や態度変容などの変化をもたらすこと」

先日、ヘラルボニーさんがカンヌライオンズでゴールド受賞の快挙のニュースがありましたよね。受賞された「Glass: The Lion for Change」は、ブランドのパーパスを超え、創造的なコミュニケーションを通じて文化を変革し、社会に変化をもたらすクリエイティブを称える部門とあります。
https://www.creativevillage.ne.jp/category/news/163367/

つまり、「掲載された」「露出された」量よりも、その活動が社会にどう作用したかが評価されている。そこに、今の広報・PRのあるべき基準があると感じます。

実際に、バルセロナ原則でも明確に「広告換算値はコミュニケーションの価値ではない」と明文化されています。(日本パブリックリレーションズ協会のこちらの記事も参照ください。)

■ 増えている「経営者メディア掲載」案件。その正体は?
「御社の経営者を特集したい」
「過去に◯◯社も出ています、取材費用はかかりません」
といった連絡。最近、増えていませんか?

実際に立ち会ってみると、取材と言いつつ1時間ほど営業を受けるというケースも多々あります。
いわゆる“取材商法”で、目的は営業。そのためにメディア体裁を整えているだけで、PVも実態も不明瞭なことが多いのが実情です。

■ メディア露出、何を軸に判断すべきか
広報担当者と経営者の間では、
「このメディアに出る意味って?」「むしろブランドを傷つけない?」
といった議論もよく起こります。

その際、下記の4つの軸をもとに整理すると、社内での意思決定もスムーズになります。

1. ターゲット到達性(Who):「そのメディアは、本当に“届けたい相手”に届くのか?」具体的なステークホルダーとの接点になりうるか。
2. 事業貢献性(Why):「その掲載が、何の目的に貢献するのか?」
3. コンテンツ活用性(How):広報・採用・営業の他施策に活かせるなら価値は高い。
4. ブランド整合性(Trust):掲載されたことがブランド毀損につながるリスクはないか。

もちろん、慎重になりすぎるが故、掲載できるメディアを選ぶのも違います。あくまでメディアは企業の宣伝のためにあるのではなく、社会にとって価値ある情報かどうかで判断されています。
だからこそ、企業側も発信の質や意味、先の影響まで見据えたアプローチが必要なのです。

■ 安易な露出ではなく、信頼を積み重ねる広報を
“とにかく出ればいい”ではなく、
“なぜ出るのか・どこに出るのか・出たあとどう活かすのか”までを戦略として設計できるか。

経営者観点で考えると上記のような一定の判断基準も設けておくことは一つ。

本質的なパブリックリレーションズを意識することで、長い目で信頼をつくる広報につながります。ぜひ、日々の広報活動の参考にしてみてくださいね。
 
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